HSC(ひといちばい敏感な子)を育てていると、感情が揺れやすかったり、心がざわついたりする日があるかもしれません。そんなとき、言葉では伝えにくい”安心感”をくれるのが絵本の力。
今回は、我が家の子どもが何度も手に取る”心落ち着く本”を3冊ご紹介します。
きみのそばにいるよ(作・絵:いぬい さえこ/出版社:パイ インターナショナル)
この絵本は、私の娘が小学校に行けずとてもつらい時期に、泣きながらも大切に読んでいた1冊です。親である私が読んでも心にぐっときて涙ぐんでしまいますが、とても温かく優しい気持ちにしてくれます。
「うまくいっても、きみがすき。うまくいかなくても、きみがすき」というメッセージが、1ページごとにふわふわの可愛い動物の絵とともに書かれていて、やさしく心に響きます。夜空の月の満ち欠けとともに進む構成で、読むごとに”ただそこにいてくれること”が価値になる感覚を与えてくれます。特に夜や寝る前の時間帯に、そっと読み聞かせると子どもの気持ちが落ち着くようです。
出展:パイ インターナショナル公式サイト「きみのそばにいるよ」
ガストンのきぶんをととのえるえほんシリーズ(絵:オーレリー・シアン・ショウ・シーヌ 訳:垣内 磯子 出版社:主婦の友社)
「ガストンのきぶんをととのえるえほんシリーズ」は、ユニコーンのガストンと一緒に気持ちを整える方法を学べる絵本です。HSC(ひといちばい敏感な子)の子ども達は、自分の気持ちをうまく言葉にできず、もやもやしたりイライラすることがあります。そんなときにぴったりなのが、このシリーズ。
主人公のガストンが、今どんな気持ちなのかを”きぶん”という言葉で表現してくれています。まだ自分の気持ちをうまく言葉にできない子どもでも、ガストンの気持ちを見たり聞いたりすることで、少しずつ自分の心を理解するきっかけになります。そして、呼吸法や感情の整理のヒントが、物語を通して子どもに伝わります。私の娘も、怖い時やイライラする時など呼吸法を試して落ち着くようになりました。
たとえば”こわくなったら やってみて!”というテーマの本では、ガストンのたてがみが虹色から灰色へ変わる表現を通して、”感情の色の変化”を視覚的に感じられる作りになっています。他にも「かなしくなったら やってみて!」や「おこりたくなったら やってみて!」などのシリーズがあり、どれもおすすめです。
出展:主婦の友社公式サイト「こわくなったら やってみて!」
ティラノサウルスシリーズ(作・絵:宮西達也/出版社 ポプラ社)
HSCの子ども達は、刺激に敏感で、恐怖や驚きに強く反応してしまうことがあります。そんな子におすすめなのが、ティラノサウルスが主人公の『おまえうまそうだな』シリーズです。私の息子も大好きで、園児の頃は涙ぐみながら読み聞かせをしていました。小学生になった今でも気に入って読んでいる姿を目にします。
この絵本シリーズは、迫力のある恐竜の世界を描きながらも、物語の中には「やさしさ」「友情」「思いやり」といった温かいテーマがあります。ティラノサウルスの大きな体や強そうな見た目とは裏腹に、心の優しい姿が描かれているため、HSCの子でも安心して楽しめます。
また、物語を通して「強いものでもやさしい気持ちを持てる」という価値観が自然に伝わるので、子どもが自分の感情や周りの気持ちに気づくきっかけにもなります。迫力やユーモアを交えながら、子どもの感覚を刺激してくれます。
出展:ポプラ社公式サイト ティラノサウルスシリーズ15周年特設サイト
まとめ:絵本がくれる”安心の時間”を大切に
絵本はただの読みものではなく、子どもの心にそっと触れる大切なツールです。
紹介した3冊は、それぞれ異なるアプローチ「存在そのものの承認」「感情と向き合う力」「想像と安心感」を持っています。
毎日のちょっとした時間、寝る前、穏やかな午後のお茶時間などに、ゆったりと一緒にページをめくってみてください。感受性豊かなHSCの子ども達は、絵本からさまざまな事を感じ取ることと思います。
その時間が”安心の時間”になりますように。

