毎朝の登校しぶりにどう対応したら良いか分からない。いろいろ試してみたもののどれも手ごたえがない…。
1日休ませてみるべきか…いや、休ませたら休み癖がつくのではないかと悩みますよね。
そんな毎日に疲れてしまっているママたちに、実際に私が経験したNG対応と
登校しぶりに対応するための5つのステップをお伝えします。
登校しぶりとは
そもそも登校しぶりとは、たまに「学校に行きたくないな…」とぼやく程度のものから
毎日泣いて暴れるパターンまで、子どもによって様々です。
感受性豊かなHSCの子どもにとって、学校という場所はとても刺激の多い場所です。
そのため、非HSCの子どもと比べると不安や疲れなどからしぶる事も多くなります。
朝の忙しい時間帯、毎朝のように続く登校しぶり(最終的には登校拒否)に
私も毎日疲弊しきっていました。
HSCとは、Highly Sensitive Child(ハイリ―・センシティブ・チャイルド)の略で、日本語では「非常に敏感な子ども」と訳されています。子どもの約5人に1人がHSCであると言われています。
注意が必要なケース
軽い登校しぶりであれば、あまり重大な事ととらえず受け流して大丈夫です。
HSCの子は基本的に一回しぶるものと思っていると気持ちが楽です。
実際私も、最近の長女の「今日行きたくないな~」は、「おはよう」だと思っています。笑
大人だって「あ~仕事めんどくさい~」とぼやきたくなる時もありますよね。
そんな時に自分がかけて欲しい言葉をかけてあげたら良いと思います。
「分かるよ~お母さんもお仕事めんどくさいけど行ってくるね~」くらいの感じで良いと思います。
ただし、注意が必要なケースもあります。
登校しぶり=子どもからのSOS
である場合があるのです。
私の子ども達の登校しぶりはSOSだったのですが、気づかずに追い詰めてしまい
限界を迎えた子どもたちは学校に行けなくなってしまった時期がありました。
注意が必要なケース
- お腹が痛い・頭が痛いなどの体調不良が続く
- 笑顔がなく明らかに疲れている
- よく保健室に行く
- 些細なことで泣き出したり怒り出したりする
他にも会話の端々にヒントが隠れている場合があるので、ちょっとした時間に雑談をしてみてください。
子どもの悩みを聞き出すには、安心できる雰囲気を作り、子どもの話に共感して傾聴を心がけましょう。アドバイスは、求められない限りは控え、子どもがどうしたいかを聞き出し、子どもの意思を尊重しましょう。
登校しぶりの原因
環境の変化
私の子どもたちもそうですが、環境の変化に順応するまでに人よりも時間がかかります。
入学・進学(クラス替え)、新しい習い事を始めたり習い事の先生が変わることなどもHSCの子の不安要素となります。
学校では、みんなと同じように過ごしているように見えますが、当の本人たちは安心できない環境で毎日必死に過ごしています。
新しい環境に慣れるまでは、精神的な疲れから「なんか行きたくないな…」と言うことが増えます。
そして常に気を張って疲れているため、些細なことでイライラしたり情緒不安定になります。
この時期の子どもは学校で頑張りすぎているため、余力が何もない状態です。自宅がホッとできる場所になるよう普段よりもルールをゆるめ、のんびりと過ごさせてあげましょう。
友達や担任との人間関係
低学年・中学年・高学年と学年が上がるにつれて、人間関係も複雑化していきます。
感受性豊かで共感力が高いHSCには、
- 本音が言えない
- 空気を読み過ぎて疲れる
- 他人の感情に引っ張られやすい
などの特徴があります。
HSCの子どもが安心して過ごすためには、安心できる人間関係の構築が重要となりますが、
友達や担任との信頼関係を築くことにも時間がかかります。
そのため、入学時期や学年が変わる時期に登校しぶりが増える傾向にあります。
また、中学年頃から友達とのトラブルが増え、登校しぶりに繋がっているケースもあります。
- 仲の良い友達同士グループ化し、仲間はずれにした・されたように感じた
- いつもケンカしている子がいて、HSCの子は心配で落ち着かない
- いやなことをいやだと言えない
- 担任の先生が他の子に怒っているのに自分が怒られている気がして疲れてしまう
人間関係のトラブルは、社会に出るために必要な経験です。
この時期に、自分の中で折り合いをつけるサポートをしてあげることで
自分で乗り越えられた!次もきっと大丈夫!という自身がつきます。
自分に自信を持てた事で自己肯定感を上げていくことが重要なポイントです。
気質からくる不安
なぜ学校に行きたくないと思うのか。
様々な理由があると思いますが、まだ子どもには言語化する事は難しいです。
本人に質問しても「分からない。」「行きたくない。」しか返ってこず、
「自分のことなのになんで分からないの!」「理由がないなら行きなさい!」
とキツい言い方をしてしまったこともありました。
こども園時代から6年間、毎朝のように行きしぶる子どもたちを観察して気づいたのは
登校しぶり=不安
なにがそこまで不安なの?と思うかもしれませんがこれもHSCの子どもの気質の問題です。
HSCの子ども達は、物事を深く考え、小さな変化にも敏感に気づくことから、
間違えを恐れて慎重になりやすい傾向があります。
- お母さんと離れることが不安
- お友達にこんな事やあんな事を言われたらどうしようという不安
- 給食が苦手なメニューだったらどうしようという不安
- 今日は授業でどんな事をやるんだろう…という見通しが立たない不安
あげだしたらキリがないくらい、いろいろな事を不安に感じています。
でも大丈夫です!
この不安はひとつづつ取り除く事ができます!
この不安を取り除きながら成長していくことが、登校しぶり軽減への重要なステップとなります。
一度休ませたら休み癖はつくのか?
結論から申し上げると、休み癖はつきません!
と言い切りたいところですが…ケースバイケースかと思います。
我が家の場合は、休み癖はつきませんでした。
むしろ、リフレッシュや心の整理をするために必要な大切な時間だったと思っています。
我が家のケース
長女と長男は、こども園時代からずっと母子分離不安があり毎朝泣きました。
長女に関しては小学校入学後も一人では行けず、私が毎朝校門まで付き添い、大泣きしている娘を先生に引き渡す毎日。
それでもなんとか通ってはいましたが、小3になり保健室にいる日や体調不良を訴える日が増え
最終的には、朝から行きたくないと泣いて暴れ、学校に行く事ができなくなりました。
低学年は、新しい環境になった事への不安が原因でしたが、中学年では友達関係につまずいていました。
- 一度休ませてしまったら休み癖が付くのではないか
- 学校を休んでよいのは熱がある時だけ
- 嫌な事から逃げてばかりでただのワガママなのでは?
- みんなもいやな事があるけど頑張ってる
私のこの考えで、さらに長女を追い詰めてしまっているということにこの頃の私は気づいておらず、どうにかして登校させる事だけを考えていました。
今思えば長女の気持ちは置き去りで、学校に行きさえすればなんとかなると思っていたのです。
登校しぶりのNG対応
6年間続いている登園・登校しぶり、育児書を読み漁ったり、ネットで検索をしたり、
試行錯誤しながら様々な事を試しました。
その中で私が失敗だったなと思う対応をお伝えします。
1.むりやり連れていく
とにかく泣こうが暴れようが、引きずってでも連れていく
私が悩んでネット検索をしている時に結構見かけた方法です。
先生も「お母さんと別れた後は普通に過ごしてましたよ~」と仰ります。
むりやり連れて行かなければ、その環境に慣れるというスタート地点にも立てないし
この方法しかないと思いました。
絶対にやらないでください。
子どもが泣き・暴れている=体が全力で拒否しているのです。
こんな連れていかれ方をした子どもは一日引きずります。
普通に過ごしているように見えても心は傷つきとても疲れてしまいます。
本人の気持ちを置き去りにしても結果として何も解決する事はありませんでした。
なので本当におすすめしません。
2.「みんなも嫌だけど我慢して頑張ってる」などの説教・説得・正論で諭す
もう小学生だし話せば分かるだろうと、「社会に出たら嫌なことがあっても休めないんだよ」と話し、
なんとかして登校させようと説得を試み、時には「泣きながら登校している子だっているのになんであなたは…!」と
責めてしまったこともありました。
泣きながら「行きたくない」とSOSを出している子どもが目の前にいるのに、
・ここで許したら甘え癖がつくかもしれない
・泣いたら休ませてもらえると学習するかもしれない
と思っていました。
私も余裕が無かったとはいえ、子どもの気持ちに全く寄り添っていませんでした。
結果として、みんなができている事が私にはできないと子どもに思わせてしまい、
自己肯定感もどんどん下がっていき、「みんなと同じようにできなくてごめんなさい…」
「普通になりたい…」と子どもに言わせてしまったのです。
子どもには後からあの時は本当にごめんね…と謝りましたが、凄く後悔しています。
心が弱って「行きたくない(お母さん助けて)」とSOSを出している時に
正論をぶつけたり説教・説得をされたら突き放されたと感じるでしょう。
きっと子どもだってそんな当たり前の事は分かったうえで「行きたくない」と訴えています。
本当は「行きたくない」と言わない方が良い事も分かったうえでのSOSなので
この方法もおすすめしません。
1クラス30人の中で誰も何も感じないような事でも、我が子だけ我慢できないような事があるのかもしれないと思うようにしています。(HSCの割合は5人に1人と言われています。)
登校しぶり対応*5つの対策
先ほどもお伝えしましたが、HSCは基本的に1回はしぶるものと思っていると気が楽です。
「めんどくさいな~」とぼやいている程度であれば、軽く受け流していれば大丈夫です。
しかし、泣き喚いたり体調不良が続いたり明らかに様子がおかしい時は下記の対策をしてみてください。
1.一番大切なこと
まず初めに一番大切なことをお伝えします。
それは、他の子と比べない。普通を求めない。
HSCの登校しぶりは、逃げでも甘えでもワガママでもありません!
育て方やしつけの問題でもありません。気質の問題です。
あれこれ戸惑うような情報も目にするかもしれませんが、
目の前にいる我が子の気持ちを一番に尊重しましょう。
そして、
不機嫌な時=不安な時です
理不尽にイライラをぶつけられて、お母さんもイライラしてしまう事があるかもしれませんが
我が子は今不安なんだな、助けを求めているのだなと思い、サポートに回ってあげましょう。
そして、HSCの子には他の子よりも少しだけ多くお母さんのサポートが必要です。
不安な事がある時は、本人の了承を得たうえで担任や学年主任などに相談し、サポートしてもらいましょう。
学校内、特に1年間同じメンバーで過ごすクラス内に不安要素がある場合、それだけで行きづらくなってしまいます。
また、学校の準備なども本人が手伝って欲しがっている時は手伝ってあげましょう。
2.一旦休ませて話を聞く
どうしても学校に行けない時は、1日休ませてのんびり過ごしながら話をきいてあげてください。
休んでしまった罪悪感があると気持ちも落ち込み、なかなか話したいことも話せないかもしれません。
いきなり問いただしたり、むりやり聞き出すのではなく、
何か一緒に楽しめる事をしながらリフレッシュしつつ、
不安なこと・悩んでいることがあるか聞いてあげてください。
カフェに行ったり映画を見たり、二人で絵しりとりをして笑ったり、お散歩でも良いと思います。
(私はカラオケに行きました。笑)
「そうだったんだね」「つらかったね」「話してくれてありがとう」
と吐き出させてあげてください。
その中で解決できそうな事があれば、アドバイスではなく今後どうしていきたいかを
一緒に考えていく姿勢で話し合ってみてください。
3.信頼できる大人を一人でも見つける
担任・保健室の先生・スクールカウンセラーなど、誰かひとりでも本人が心を許せて信頼できる大人を作りましょう。
学校の中に安心できる場所が一つあるのとないのとでは大違いです。
そのためには、お母さんの力が必要です。
電話でも手紙でも面談でも良いので、我が子の現状を伝え、
困った時に助けを求められる環境を作ってあげてみてください。
4.不安なことはスモールステップで乗り越える
HSCの子どもは、不安に感じる事が他の子よりもたくさんあります。
いきなりではなく、スモールステップで乗り越えていく事がとても重要です。
例)お母さんと離れる事が不安なケース
一人で学校に行く事が難しければ、送り迎えをしてあげましょう。
子どもに笑顔や余裕がでてきたと感じたら、少しずつ付き添う距離を短くしていきます。
ポイントは、笑顔や余裕が出てきてから次のステップへ進むことです。
まだ不安を感じている状況でむりやり次のステップへ進むと、必ず反動があります。
他の子より時間はかかりますが、必ず自身がつき、すんなり出発する日がきます。
どんなケースでも自信がついてくると、子どもから前向きな発言が出てくるようになります。
上記のケースなら「今日は〇〇から一人で行ってみようかな…」などです。
そこが次のステップへ進むタイミングです!
「無理しないでね!」と声をかけるのではなく、
「いいね!お母さん応援してるね!」と明るく声をかけてあげてください。
あなたなら大丈夫!という雰囲気を出して、お母さんはドーンと構えていてあげてください。
スモールステップでひとつずつ不安を解消していくことが最も重要です。
5.ストレス発散になる趣味を見つける
これは娘の担任の先生からも言われたのですが、感受性の豊かなHSCタイプの子はストレスをためやすいです。
音楽を聴く・読書・散歩などなんでも良いので
疲れた時や不安な時、イライラした時などの様々な場面で、
どうやってリラックスし、どうやってストレスを発散するか
気持ちの整理をする方法を本人と話し合いながら見つけておく事が大切です。
ストレス発散になる趣味を見つけることは、大人になってからも役立ちます
最後に
私含め登園・登校しぶりに対応しているママさんたち、毎日本当にお疲れ様です。
HSCの子育ては、難しいことや壁にぶち当たることが多いかと思います。
HSCの子育てについて悩んでいた時に出会った言葉があります。
蘭の花とタンポポの花
HSCの子どもたちは、蘭の花なのだそうです。
それ以外の子ども達はタンポポ。
タンポポは踏まれても大丈夫。強い生命力と適応能力を持っています。
一方蘭は、環境を整えて手をかけて育ててあげる必要があります。
どちらが良いという事ではなく、どちらにも良いところがあります。
HSCの子どもたちは、他の子よりも手をかけてあげる必要があり
他の子より時間もかかるかもしれませんが、必ず美しい花を咲かせます。
(アメリカの児童心理学者、トーマス・ボイス博士(Dr Thomas Boyce)の著書
『蘭とたんぽぽ(The Orchid and the Dandelion)』に書かれているそうです。)
ママも時には肩の力を抜いてくださいね。
決して焦らず、我が子の力を可能性を信じてあげてください。